『黒龍荘の惨劇』 岡田 秀文

デビュー以来、主として歴史・時代小説を書かれていた著者による本格ミステリ、名探偵「月輪(がちりん)龍太郎」シリーズ第2弾!

ん?第2弾?しまった!第1弾読んでないやー。ひとまず本作を読み終えてから、第1弾『伊藤博文邸の怪事件』を遡って読むか考えることにします。

 

本作は(第1弾も同様みたいですが)旧家の蔵から発掘された明治時代の手記を著者が現代語訳したという体になっており、その時代の空気を少しだけ感じることができます。移動手段が馬車や人力車だったり、夜は明かりが少なかったり、本筋には絡んでこないものの伊藤博文山縣有朋など明治の偉人たちが出てきたり。あくまでエッセンス程度のものなので、ガッツリ歴史と思って読むと期待外れになっちゃいます。ご注意ください。

 

物語は東京郊外の「黒龍荘」という邸宅で首なし死体が発見されるところから始まる。それから第二、第三、、、と惨劇が立て続けに起こり、ポンポンと話が進んでいく。テンポが速く、文章があっさりしているのでサクサク読み進めることができます。その分人物描写などに少し物足りなさを感じるかもしれませんが、真相が明らかになるとあえてそういう進め方をしてきた意図もわかるようになっているのでご安心を。

連続して起こる惨劇については、首なし死体や見立て殺人など、古き良きお約束がガンガン出てくる。小学生のときに図書館で読んだ金田一耕助シリーズや明智小五郎シリーズのような雰囲気というか、心地よい懐かしさを感じながら読み進めることができました。シャーロック・ホームズっぽさもあるかな。ん~ノスタルジック。

 

いわゆるフーダニット(犯人探し)の色が強いと思って読み進めていたが、実はハウダニット(トリック解明)が本作のメインディッシュ!その大胆さゆえにリアリティはやや欠けるけど、やられたー!ってなると思いますよ(^.^)科学的な捜査がない明治時代だからこそ成立する部分も多々ありますがそれがいいんです♪そのおかげで、著者の言葉を借りれば「黄金時代」の探偵の活躍を目にすることができるんですから(^^)d

 

好みの作品だったので、第1弾『伊藤博文邸の怪事件』も読むことにします(^^ゞ今回のようなシリーズものに限らず、読んだ作品と次に読みたいと思える作品が連鎖するとうれしくなりますね♪


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