『僕は君を殺せない』 長谷川 夕

著者は2015年度ノベル大賞の準大賞を受賞した長谷川夕さん。その受賞作を改題、改稿した本作『僕は君を殺せない』でデビューされたとのことです。不勉強なため著者についてもノベル大賞という賞についても存じ上げないのですが、やはり〇〇賞受賞とかっていう権威付けにはめっぽう弱く、どうしても期待をしてしまう。さらには裏表紙に「誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!!」とまで書かれたら期待値MAX!分量も254ページと少ないので、二度読みするにはちょうどいい(^^)dこりゃもう読むしかない♪

 

ここで、本書の外形的な特徴を一つ!裏表紙と帯に、ある「問題」が書かれています。それが目に入ってきたので、フラッと入った書店でまったく知らないにもかかわらず本書を手に取ったのです。その「問題」はこれ。

問題:だれが「僕」で、だれが「君」でしょう? 
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なるほど。これはタイトルに絡めて叙述トリックを仕掛けてくるに違いない!騙されないように警戒しながら読んで、でもやっぱりその上をいかれて派手に騙されちゃうという僕の大好きなパターンを味わえるんじゃないかしら(∩´∀`)∩そんなこんなで色々と期待しまくりで読み始めたわけですが、、、

 

うん。正直ちょっとガッカリ。

まず、言及しておかなければならないのは、本書は表題の『僕は君を殺せない』以外にも2作品が掲載されていることです。すなわち、254ページにそれぞれ独立した中編・短編・短編の3作品入っているわけ。ん~気付かなかった自分が悪いんやけど、表紙や帯に何の表記もないのはちょっとアンフェアかなー。

あと、僕が本書を読むきっかけとなった「問題」が関係するのは表題作のみ。で、内容に照らすと、わざわざ目立たせてこういう形をとった理由がわかりません。なんでこれ「問題」にしたんでしょう?だって普通に読んでいれば、誰が「僕」で誰が「君」か悩むことはないですよー。「問題」になってないと思うのですが。ラストも特にどんでん返しはなく、驚愕することはありませんでした。

 

ん~これは二度読みはしないかなぁ。あくまで個人的な感想ですけどね。

ネガティブなことを書いちゃいましたが、本書の内容というよりは売り方、煽り方の問題だと思います。内容については独特ながらも読みやすい文体、丁寧で綺麗な語り口など、お好きな方も結構多いんじゃないかなと。売り文句に煽られてハードルを上げない、ミステリーとして読まない、そうすれば表題作を楽しむことができるはずです(^.^)

ちなみに、表題作以外の2つの短編のうち、『Aさん』はなかなかよかったですよ♪ミステリーとしてではなくホラーとしてですがf(^_^;)ゾワッときます(>o<)

 

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