『子どもたちは夜と遊ぶ(下)』 辻村 深月 ※バックナンバー:20171206
前回に続けてインターンイベントで出会った学生Iくんに紹介してもらった作品。今回は上・下巻構成の長編ミステリの下巻です(^^)
上巻と下巻の半ばまでで散らされた謎をそれ以降で一気に回収していきます。テンポがグッと上がる。メインの謎自体は特に目新しいものではありません。でもちゃんと最後まで読ませ切る!やっぱり映像を浮かばせる描写の力がすごい。
上巻に引き続き下巻でも殺人は起きてしまいます。遊び=ゲームの一環としての殺人。読者には誰が犯人かわかった状態で行われるこれらの殺人はそのすべてが痛い。
犯人の背景、動機、思い、そして、被害者の背景、人柄、日常 etc.
読者はそれらを知った上で、犯人が行う殺人を一つ一つ目にしていくことになる。痛い。肉体的に痛い描写だけではなく、心が締め付けられるような痛みが何度も襲いかかってくる。
でも、それだけでは終わりません。共感なんてできないはずなのに、犯人のことを思い涙してしまう自分がいる。その涙は単純に可哀想な他人を憐れむというエゴイスティックなものではない。小さな、本当に小さな救いを目にすることによる安堵の涙。それは犯人の「今」からの解放と「未来」に抱く仄かな希望からくるのだろう。
とても悲しい物語なんだけど、読後にはある種の爽やかさが残る。一度手に取ったなら最後まで読み切って感じてください。
トータルでは結構な分量があるけど好きな作品でした☆珍しく電車移動中以外にも読んじゃった♪
次もIくんが紹介してくれた同じ著者の作品を読みます!ここからがいよいよオススメポイントらしいので楽しみ~(°∀°)